特定非営利活動法人 Science Station 設立趣意書

今日まで、わが国は科学技術を進歩させることで経済的な発展をとげてきました。また、科学技術による恩恵は、物質的な面だけに留まらず、文化的な面でも大きな貢献をしてきました。その意味では科学技術は、豊かな社会を実現するための要であるといえます。

このような科学技術の進歩は、人々の自然に対する旺盛な好奇心と、それを理解するための基礎的研究を大事にする社会があってはじめて実現するものです。しかしながら、昨今、知的好奇心が最も旺盛であるはずの生徒・学生の多くが自然科学に興味を示さない、いわゆる理科離れが広く指摘されています。一方で、科学に興味を持つ生徒・学生についても、その興味を高め、才能を引き出す教育がなされているとはいいがたい状況です。これは、自然科学を支える社会理解の形成や、次世代の自然科学を担う人材の育成という点で憂うべき状況であり、豊かな社会を維持・発展させていく上で、看破できない問題になっています。

上記の問題を解決する有効な一つの手段は、生徒・学生に先端の科学研究に触れさせる事だと考えます。科学に興味を持つ生徒・学生に対し、学校教育の枠を越え先端の科学研究に触れる機会を設けることで、その興味を広げ才能を伸ばす事が可能となります。また、それに加えて、広く市民に対して科学の教育普及活動を行うことは、科学への社会的理解を深めるという点で、科学振興に利することだと考えられます。

このような問題意識から、私たちはこれまで"銀河学校"などの科学セミナー活動に参加協力してきました。これらは科学に興味をもつ高校生を対象とした体験実習セミナーで、参加者の多くは自然科学の分野に進学し、多彩な分野で活躍しています。また、セミナー参加者の中には翌年以降のセミナー運営に携わるものも数多くおり、科学振興の芽はひろがりつつあります。

この度、私たちは、個々人が行って来た社会教育活動を集約し発展させるため有志を募り、特定非営利活動法人 Science Station の設立を図ることとしました。特定非営利活動法人を取得することで、公的教育研究機関等との協力関係を広げることができ、個人では為し得なかったような広範な活動が可能になります。この法人によって、自然科学に対して興味を持つ生徒・学生に対してその興味を深め、次世代の科学研究を担う人材として育成を行い、また、広く市民に教育普及活動を行うことによって科学に対する社会的理解を深め、もって、社会教育、子供の健全育成などの公益に寄与して行きたいと考えています。

平成 15 年 10 月 24 日
代表者 吉井 譲