日時 | 2005/10/25 |
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場所 | 東京都立立川高校 出前授業 |
対象 | 高校1~3年生約40名 |
担当者 | 山崎,大谷,丸山 |
最初に大谷が「大学での新生活」と題して大学生活4年間の流れや一週間、一日の流れを20分ほど話し、続いて山崎が「世界物理年2005」と題して50分ほど話しました。
今年はアインシュタインが革命的な3つの大理論を発表した年からちょうど100年にあたり、『世界物理年2005』に位置づけられ、世界中で物理関係のイベントが行われています。
講義では、アインシュタインが考えた3つの理論の1つである"光は『波』でもあり『粒子』でもある。"を身近な光電効果の現象を例に説明しました。その考え方はすべてのものを波と粒子の二重性からとらえる量子力学に発展しました。 講義ではそれらの現代の姿としてナノテクノロジーによって可能となった物質表面の電子のさざなみの直接観測や原子で書いた文字などをを紹介しました。
講義の後半では、"『質量』と『エネルギー』は等しい。"ということをスポーツ選手の運動エネルギーなどを例に説明しました。それらの考え方は相対性理論としてまとめられました。講義では近年明らかになった身の回りにあるものの質量の起源に迫りました。原子、原子核、陽子、クォークとミクロの極限への旅を続け、質量のほとんどがクォークの運動と結合の莫大なエネルギーによるものであることを説明しました。
講義の質問タイムでは大学生活や受験などに関して活発な質疑応答が行われました。物理の内容や物理学科に関する質問や相談は講義の後個別にじっくり行われました。
Q:トラックを縮めたらブラックホールになると聞いたことがある。本当ですか?
A:縮められたらブラックホールになるかも知れないが、そのためには非常に大きな力で圧縮しなければならない。普通は大きな質量の星が超新星爆発を起こすときの中心部の圧縮によりブラックホールができる。
Q:相対性理論とはどういうものか?
A:今日話したE=mc^2はひとつの例で物質とエネルギーの変換を表している。身近な例だとカーナビはGPS衛星に積まれた時計からの信号を受けて現在位置を割り出しているが、地球の周りを高速で動いているためその時計が相対論的な効果で少しずつ遅れている。 たまに相対論的な効果を補正してやらないと便利なカーナビもつかえなくなる。
Q:赤い光は波長が長く、青い光は波長が短いというが、緑の光はどうなのか?
A:緑の光は赤と青の間の波長を持っている。赤より波長の長い赤外線は例えばストーブのように物を暖める役割がある。青より波長の短い紫外線は日光の日焼けのように皮膚をダメージを与える。役割がぜんぜん違う。
Q:陽子は3つのクォークからできているというが、クォークを取り出せないというのになぜ存在がわかったのか?
A:陽子を高いエネルギーで壊すと陽子や中間子などクォークからできていると考えられる物質が3方向に大量に放出される。
Q:物理学科にいきたいと考えているが数学が苦手。大丈夫か?実験などは好き。
A:確かに大学の物理は数学色が強まる。大学のはじめのほうは苦労もあるかもしれないが、研究のレベルまで行くと自ら実験方法を考えたり、考察したり、情報を集める能力が重要になってくる。今、実験などが好きだというのならぜひ物理学科も考えてみてほしい。