第2回サイエンスカフェ in 松江

第 2 回サイエンスカフェ in 松江

日時2006/10/21
場所カラコロ工房 (島根県松江市)
参加者一般のお客様 のべ 100 名程度
担当者竹沢、山崎、織田、大谷、岡島、三戸、藤貫、藤原、橋本

概要:

松江北高校創立130周年記念事業の一環として、9月23日と10月21日にサイエンス・カフェ in 松江を松江北高校と共同開催致しました。

第二回目にあたる10月のサイエンスカフェは旧日銀松江支店ビル、「カラコロ工房」が会場でした。美しい城下町松江、その堀川沿いにある歴史的建造物のガーンテラスにおいて、サイエンスカフェとしてもめずらしい屋外での開催となりました。屋外での開催ということもあり、たくさんのお客さんに気軽に参加して頂き、サイエンスの話題をおやつにしておおいに盛り上がりました。また、休憩時間には簡単な実験を行うなどして、積極的に参加されないお客さんにもサイエンスを楽しんで頂き、非常に中身の濃い、充実したイベントとなりました。

今後も、日本全国津々浦々とまではいかないにしろ、このようなイベントを継続的に開催することで、1人でも多くの方に、サイエンスっておもしろいんだなぁ、と思って頂ければ幸甚であります。

サイエンスカフェでは以下の5つのお話をしました。

1. 『DNAの時代 ~いい事とこれから~』

橋本淳(東京理科大学大学院理学研究科物理学専攻 修士課程2年)
竹沢悠典(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程2年)

数千億円という前代未聞の巨額の予算と10年にも及ぶ長い期間を経て、ヒトゲノム計画が完了しました。そのおかげで医療やバイオテクノロジーなどは大きく発展することでしょう。しかし、絶大な恩恵が得られる半面、そこには問題も潜んでいます。その例として、着床前診断の話をしました。着床前診断をすれば、生まれて来る子供に遺伝的な異常があるかどうかを診断することができるので、もし、不治の病があると出産前に分かれば、親はその胎児を産まなくするという選択肢が可能になります。しかし、そのようにして遺伝的に異常がある胎児を選択的に産まなくしてしまえば、当然、障害者が産まれなくなるということにつながり、障害者に対する差別を生むことになります。この例は、一見役に立ちそうに見える応用技術も実は問題を含んでいるという、身近で大変重要な問題の1つです。

トークでは、遺伝子操作や遺伝子診断などの非常に身近な話題を提供して、質疑の時間には高校生を中心にしてたくさんの質問が出ました。21世紀はDNAの時代とも言われ、今後間違いなく様々な応用技術が発表されるでしょう。しかし、着床前診断を始め、応用の対象が「人間」であることを我々一人一人がよく考えていかなければなりません。そういった意味でもお客さんには大変興味を持って頂けたようで、本当に嬉しく思います。

2. 『ミクロの世界は波だらけ ~量子論からナノテクまで~』

山崎詩郎(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士課程3年)

一杯のティーを持って超ミクロの世界に行ったとします。そこでは硬いはずのティーカップもティーの波紋のように揺らいでいます。また、ティーは無残にもカップを幽霊のように通り抜けてこぼれてしまいます。前半はこのような常識が通用しない超ミクロの世界の出来事を記述する量子論のトピックスをアニメーションを用いて簡単に説明しました。後半は超ミクロの世界の性質をたくみに利用したナノテクノロジーの画像を中心に話をしました。非常に小さい原子を見たり操ったりする様子を少し身近に感じていただけたとしたら大変嬉しいです。

3.『超新星爆発と宇宙物理学のよもやま話』

織田岳志(京都大学理学研究科宇宙物理学教室 博士課程2年)
岡島礼奈(東京大学大学院理学系研究科天文学専攻 博士課程2年)

超新星とは何か?ということから、宇宙での距離の計り方の基本、そして最先端の研究である超新星を使った距離の計り方について、かいつまんで解説しました。超新星を使って距離を測って分かったことは、加速膨張している宇宙という、いままでの物理では想像できなかったものでした。調べれば調べるほどに分からないことが出てくる宇宙の奥の深さの一部を感じていただけたのではないかと思います。また、実際にすばる望遠鏡で撮ったデータを使って、超新星を探してもらいました。みなさんが必死に探してくださり、大変な盛り上がりをみせていました。

4. 『似非科学は本当はどうなの?』

橋本淳(東京理科大学大学院理学研究科物理学専攻 修士課程2年)
岡島礼奈(東京大学大学院理学系研究科天文学専攻 博士課程2年)

最近、酸素入り水やポラリスコープといった、非科学的なことを科学的であるかのように宣伝する商品など見かけます。基礎的な科学の知識と思考があれば非科学的なことも見抜けるはずです。見抜けなくとも、疑問には思うだろうと考えられます。トークでは、似非科学といわれるものを例にとって、クイズ形式で科学的なものなのかどうかを考えてみました。

科学的に応用されてる光触媒などを、胡散臭くて非科学的である、と判断されたお客さんがいらっしゃったようで、意表を突いた答えに楽しんで頂けたようです。

5. 『生物に学べ!ナノテク研究最前線』

竹沢悠典(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程2年)
大谷陽祐(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 修士課程2年)

最近ナノテクノロジーという言葉をよく聞きます。ナノとは、100万分の1ミリメートルのこと。それだけ小さいものを作ったり操ったりする技術です。このナノテクの研究に、生物が手本になることがあるのです。私たちも含めた生物の中では、ナノメートルの大きさの酵素やタンパク質が、動いたりはたらいたりしています。いってみればナノレベルのマシンとも言えるものです。これらをヒントにして、機能を持った人工分子をする研究が盛んです。カフェでは、このようなナノマシンを作る研究について、基本的な話からはじめ最近発表された研究の例も紹介しました。会場から、さまざまな質問も出てたいへん盛り上がりました。また、スピーカー自身がどのように研究しているかもお話しし、研究の現場の様子についても知っていただけたようです。

謝辞

本イベントは島根県立松江北高等学校と共催で行い、同校の先生方に多くのご協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。

関連リンク