口頭発表2

第11回日本天文学会ジュニアセッション

日時2009/3/25 - 27
場所大阪府立大学
対象生徒12名
担当者宮田、三戸、猿楽、藤原、大木、青木、佐々木、山本、金澤

2009年3月26,27日に行われた日本天文学会第11回ジュニアセッションに、銀河学校2008で実習を行った高校生の一部が参加しました。サイエンスステーションではこれらの高校生に対し、実習内容をさらに追及すべく研究指導、発表の指導を行いました。また、会場等での引率を行いました。高校生が学会での発表を行う際の大きな問題は、旅費の負担の問題です。銀河学校参加者は全国からやってくるので、学会やその直前の準備へ参加するにも旅費や滞在費がかかってしまいます。経済的な理由で学会への参加を断念するような事が無いよう、サイエンスステーションでは昨年に引き続き、ジュニアセッション参加者への旅費および宿泊費の一部を補助しました。

ポスター作成中
ポスター作成中

研究指導および発表準備

ジュニアセッションで、銀河学校2008で実習を行った3つの班が発表を行いました。サイエンスステーションでは、各班に人員を配して指導に当たりました。各班の発表タイトルは以下です。

  • A班 「小惑星を探れ!」
  • B班 「死にゆく星の姿を探れ」
  • C班 「Hα 光の赤方偏移現象で探る銀河団の性質」

夏休みを利用し一度集まり、その他にネットでのやりとりを通して、準備を行ってきました。発表する内容は、一年前に銀河学校で行った研究ですので、内容を思い出しながらの作業でした。記憶を辿りながらの作業であったため、高校生は大変苦労をしているようでした。しかし、徐々に意見が活発に出るようになり1年間の成長に驚かされました。客観的に見て、どのようにしたら4分間という短い時間で自分たちの研究が伝わりやすいかなどの意見を出し合い、スライドを作り上げていく姿はとても印象的でした。また、より理解してもらうためにポスターを縮小した資料作成、タイから来る参加者のために英訳をするなど工夫して研究を理解してもらおうとしていました。

発表準備中
発表準備中

口頭およびポスター発表その他イベント

口頭発表では、練習の成果もありとても堂々とした姿で発表を行う事ができていました。その後行われたポスター発表では、多くの方から質問や意見などを頂いていました。ポスターを使用しながらの議論は、発表の時のように時間制限がないため、長時間に及びました。多くの方に自分の研究を理解してもらう喜びや大変さを感じ、様々な同年代の学生の研究を知ることなど多くの刺激を受けているようでした。

口頭発表
口頭発表

また、交流セッションとしてAstro-HS全国フォーラム(高校生天体観測ネットワーク)が開催されました。他の発表とは違い自由に和気藹々とした交流が行われました。

容易に集まれないという状況や初めての学会形式の発表で準備はとても大変だったことと思います。しかし、発表まで辿り着くことができたのは高校生の銀河学校で行った研究に対する思いと班内の絆が強かったからではないでしょうか。1年前に銀河学校を終えたときとは自ら進んで学ぶという姿勢が全く違う印象を受ける生徒が多かったことからも伺えます。全国の高校生との交流は、高校生にとってとても刺激的なものだったのでしょう。ジュニアセッションで体験した各発表、そして会場で交流を通し感じたことを今後も忘れずに科学への興味を持ち続けて欲しいです。

ポスター発表
ポスター発表

※ジュニアセッションの発表内容については当サイトの『銀河学校2008』の記事および『日本天文学会』ホームページの『第11回ジュニアセッション』をご参照ください。また、予稿もご覧になれます。

関連リンク

参加者の感想

「JuniorSessionに参加して」

私は今年のJuniorSessionでは「小惑星を探れ!」という研究テーマで研究を行っていきました。

発表準備の時、皆が思ったように集まることができず、ネットワーク上で準備をすることが多くありました。

去年のJuniorSessionの口頭発表時間は3分ととても短く、思ったように発表ができませんでしたが、今年は4分ということで、昨年よりは十分なポスターのPRができたと思います。 また、発表する原稿をあらかじめ作成していたので、みんなで発表する順番を回しても十分な時間をとることができた。

ポスターセッションの際に、質問対策をしてセッションに挑んでいたつもりでしたが、今回用いた計算式の説明や、今回の研究テーマにたどり着いた経緯とう、思いがけない質問が寄せられ、困惑することがあり、質問に対する対策が不十分であったことが残念でした。

来年もJuniorSessionに参加することになるだろうから、これまでの反省をしっかり生かしていきたと思います。

「ジュニアセッション感想」

まずはじめに感じたことは、こんなにもたくさんの高校生が宇宙について研究しているのかと驚いたことです。

私は小惑星についての研究を行ったのですが、他のとこでは小惑星以外に太陽や銀河、彗星など様々な研究をしていて知らないことばかりで、とても勉強になりました。

発表もあんなに大きなホールでしたのは初めてで、緊張しましたが、質疑応答にもちゃんと答えることができたので、よかったです。

ポスターセッションでは、口頭発表よりもたくさんの質問がされ、様々なことを聞かれ、たまに言葉が詰まったりして、答えるのが大変で忙しかったですが、新しい天文仲間ができ、たくさんの人たちと自分の好きなことを一緒に話すことができたのでとても楽しかったです。

「ジュニアセッション感想」

3月26日、大阪府立大学で開かれたジュニアセッションに参加しました。大きく分けて口頭発表とポスターセッションの2部で構成されていて、天文の研究を行っている全国の高校生と触れ合うことができ、とても貴重な体験でした。

この研究やジュニアセッションを通して学んだことはたくさんありますが、今回ジュニアセッションに参加して学んだことに「人に伝えることの難しさ」があります。口頭発表やポスターについて、自分たちが研究の内容を理解し説明できるだけではだめで、研究についてまったく知らない人にうまくわかってもらえるように工夫することが発表の場においていかに重要かということを学びました。

口頭発表はスライドショーで行ったのですが、文字のサイズや色、文章での説明が難しい箇所は図で表現したり、わかりやすいスライドにするために工夫をしました。発表時間はたったの4分間であり、その中で研究の概要を理解してもらえるようにするのはとても難しかったです。まさか、たった4分間のスライドを作るのに丸1日以上かかるとは思いませんでした。それだけ、うまく伝えるということが難しいのだと実感しました。

また、ポスターセッションで使うポスターについても、読みやすくわかりやすいポスターを作るためにかなり悩みました。ポスターでは研究の全体の流れを書くのですが、研究のイントロ部分から結論に至るまで、読み手がスムーズに追っていけるような表現にするのは思いのほか大変で、さまざまなアドバイスをもらい、表や模式図を駆使して作り上げ、自分でもなかなか良いものができたのではないかと思います。

口頭発表は緊張しましたが、TA皆さんのチェックの中、前日の夜に寝る間も惜しんで練習した成果が出て、うまくいってよかったです。ほかの参加者の発表を聞きいろんな興味深い研究があることを知りました。

ポスターセッションではポスターを見に来てくれた人の質問を受けたり、研究の説明をしたりなど、高校生だけでなく本物の研究者の方など、いろんな人コミュニケーションが取れたのでとても楽しかったです。また、その場でいろんな方から研究のアドバイスをいただき、とても勉強になりました。

最後に、ジュニアセッションを無事にやり遂げられたのは一緒に研究を行った仲間との協力はもちろんのこと、サイエンスステーションのTAの皆さんのサポートがあってのことだと感じています。 特に、宮田さんをはじめTAの橋本さん、大木さん、佐々木さんには本当にお世話になりました。 昨年から約一年間サポートしていただき感謝の気持ちでいっぱいです。

今回、ジュニアセッションに参加してたくさんのことを学ぶことができ、とても充実した日々だったと思います。天文学は面白い、天文学が好きだということ再認識することができましたし、 大学にでも天文学を学びたいと改めて思いました。これからも、天文学に触れ合って生きていきたいなと本当に強く思いました。

「ジュニアセッションから学んだこと」

私は子供の頃から科学が好きです。そして、将来は科学に携わる仕事に就きたいと思っています。 しかし、以前、私は科学者というのはとても頭の良い選ばれた人が就く職業だと思っていたので、 「自分には無理なのではないか。」と考えていました。けれどもジュニアセッションを通して、私はこの考えを改めることができました。

「どんな些細なことでもいいから何か言えることはないか考えることが大切である。」

~ジュニアセッションの準備をしている時に私が学んだことです。 というのも、私たちの研究はあらかじめ立てていた予測が外れてしまったので、結論が得られませんでした。そのため、作成したデータから何か言えることを考えることが必要でした。 私たちは、各銀河団でHαが673.7nmで光っている銀河の比率は銀河団の平均の速さにもっとも影響されると考えましたが、実際は違いました。そして何か言えることはないか模索した結果、Hαの光を発する銀河の比率が各銀河団で異なる、もしくは各銀河団にそれぞれ異なる内部運動があるのではないか、という予測を立てることができました。

こうして新たな予測を立てることによって、真実の解明に一歩近づくことができるのです。 ジュニアセッションは終わってしまいましたが、私はまた機会があればHαの光を発する銀河の比率について調べることでさらに考察を進めたいと思います。

このように、あきらめずに何か言えることを考えれば話を先に進めることができる、つまり、科学にはアイデアが大切なのだと思います。アイデアは人により異なります。このことに気付き、私は科学者に対する考えを改めました。

高校では常に偏差値という物差しで人と比べられてきました。そのため、科学者は頭の良い人がなるものだと思っていました。しかし、実際の研究ではアイデアを出すことが大切でした。成績はそれほど関係ないのだと思います。

私がジュニアセッションから学んだことは実はもう一つあります。それは、仲間と協力して研究をすることの楽しさです。正直なところ、私は科学者というのは毎日研究室にこもって孤独に実験をしている人々で、すごく辛いのではないかと思っていました。実際には、談笑しながらお互いの間違いを指摘したり、教えあったり、補いあったりしながらの作業で、とても楽しかったです。確かに、夜遅くまで作業をして辛いこともありましたが、 仲間と協力することで乗り越えることができました。

私はジュニアセッションから、科学者になりたいという気持ちと大切な友人を得ました。 ここでの体験はこれからの私の人生の大きな糧になると思います。貴重な体験をさせていただいてありがとうございました。

「ジュニアセッション感想」

3月の終わりに開催されたジュニアセッションに、私は「Hα光で探る銀河団の性質」というテーマで参加してきました。

私がジュニアセッションで学んだことは、「経験が人生を豊かにする」ということです。高二から高三にかけての春休み、ちょうど将来や進路に関する不安が大きくなる時期であった私にとって、この経験は大変よい刺激になりました。

具体的な経験の内容としては、まずジュニアセッションの準備段階があります。 私たちの班が扱ったテーマは非常に難しい内容で、直前まではよく理解していない部分もありました。しかし、研究内容をまとめ、発表するとなると、自分がしっかり理解していないのでは話になりません。プレゼンやポスターの製作をする中で研究に対する理解を深め、しっかりと把握することができました。 さらに、よいプレゼンやポスターを作るためには、仲間との協力が欠かせませんでした。わからないところは教え合い、わかりづらいところは指摘し合い、みんなで書き方を考える。積極的に意見を出し合う中で、さらに打ち解け、絆を深めることができました。信頼できる仲間と協力して、自分達の研究内容を他人に説明できるレベルまで理解することができた、というのが大きな経験になりました。

次に、プレゼンです。なによりもまず、発表団体の多さに驚きを隠せませんでした。自分と同じような志を持つ者がこんなにたくさんいることを実感できる機会は、あまりないと思います。純粋に感動したし、私もずっとこの世界にいたいという意欲が湧きました。さらに、同じ天文学というジャンルにいても実に様々な研究内容があって、非常に面白かったです。 惑星からロケットまで、幅広い内容の研究結果があり、一口に天文学といえど実に様々なんだと思いました。

そして、ポスターセッションが挙げられます。ポスターセッションは、自分達の理解度が一番試される場だと思います。沢山の方に私達のポスターを見ていただき、質問していただきました。予想外の質問もあり、うまく答えられなかったこともありました。ですが、質問に対して自分の中で完璧だ、と思える答えを出せた時、質問してくださった方が「とてもわかりやすかったです。」と言ってくださった時、その喜びは言葉で表すことが出来ないほどのものでした。他のチームのポスターも見に行きました。プレゼンで見て興味を持った所へ行ったり、積極的に質問したりすることができ、ポスターを見る側としても有意義に参加できたと思います。そのレベルの高さや質問の答えかたには学ぶところが沢山ありましたし、純粋に内容を見てもとても面白かったです。調べたいテーマがあり、そのテーマをどう実証していくか、というところが各チーム工夫してあって、こんなやりかたもあるんだ、と感心しました。天文学の面白さを改めて実感できました。

ジュニアセッションは、少しでも天文学を志す者にとっては、最高の学びの場だと思います。私が今回学んだことは、一生の財産になるような、とても大切なことばかりでした。この経験を糧に、探求心と知識欲を絶やさず天文学に携わり続けたい、そのためにはまず目の前の受験に全力で取り組みたいと思います。

「ジュニアセッションに参加して」

昨年の銀河学校から今回のジュニアセッションまでの間、私は多くのことを学ぶことができました。

銀河学校では、宇宙や小惑星のことについて学び、観測、解析、そして発表をしました。解析では難しい数式を理解するのが苦しかったです。そのいっぽうで自分たちで考えて議論する楽しさを味わうことができました。また、他の班の発表を聞いて、とても勉強になりました。

長期休暇中にも班で集まり、復習やジュニアセッションに向けての準備をしました。準備には思っていたより時間がかかり、納得がいくまで何度もやり直しました。ジュニアセッションでの発表では自分たちが調べたことを、いかにわかりやすく伝えるかにとても悩みました。今回のような広い会場で発表するのは初めてだったので、とても緊張しました。

この1年間で、普段学校ではできない貴重な体験をすることができました。また自分の夢にも一歩近づけた気がします。多くの仲間や先生にも出会えました。このような機会をあたえてくださった方々に感謝しています。ありがとうございました。

「ジュニアセッション感想」

とても達成感あふれる行事でした。

ジュニアセッションを通して得たものは、今後の僕たちを活かしていくことができるので、 とても良い経験だと思います。何よりもジュニアセッションへ引率していただいた先生やTAの方々、一緒に参加した友達が支えとなって、一人ではこなすことが困難な発表準備なども楽しく進めることができました。

またジュニアセッションに参加した全国から集まったグループとも交流し、様々な研究内容を知りました。今年は僕の地元である大阪を舞台にジュニアセッションが開催されたので、大阪のことを色々とガイドしました。一方、他の友達からは個々の地元の文化を教えてもらいました。これは僕にとって様々な文化の違いを発見する良いきっかけとなりました。

そして一番力を注いだのは発表準備です。僕たちのグループの研究内容を理解してもらうために、 ポスターやプレゼンのスライドの中にたくさんのアニメーションを組み込みました。何度も分かりやすく説明ができるようにグループで発表の練習することによって、自分達が気付かなかった問題点を見つけることもできました。

ジュニアセッションのような素晴らしい行事は中学生、高校生により広めていくべきだと思います。 何かを学ぶ際は物事を判断するといった問題解決能力に加えて、何が問題なのかを考える課題探求力も求められるので、僕は違った観点からも内容を捉えるということを今回の研究でも心がけました。 自分のスキルを磨くのに、このような行事は僕たちにとってなくてはならないものだと思います。 本当に楽しく充実したジュニアセッションでした。 またできればTAとして参加したいです。