日時 | 2009/8/29 - 30 |
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場所 | 東京大学木曽観測所 |
対象 | 長野県屋代高等学校2年生 計34名 |
担当者 | 三戸、青木、深瀬 |
東京大学木曽観測所で屋代高校2年生を対象に星の教室を開催しました。星の教室では二日間で宇宙の年齢を求めてもらいます。
昼頃に生徒のみなさんが来所して星の教室の開講となります。まずは宇宙の年齢について講義を聴いてもらいました。講義は天文学史に沿ったものなので分かりやすかったのではないでしょうか。
講義の後には木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡の見学へ向かいます。ドームの中では望遠鏡を前に、その大きさに圧倒されているようでした。生徒のみなさんの中には望遠鏡をのぞき込んだり、写真を撮ってみたり、それぞれで望遠鏡に刺激されていたようです。
望遠鏡に驚いたところで本題の実習に入っていきます。まず実習1では「視角」という考えを使って距離をどう求めるか、実習2ではその視角を使って実際に銀河までの距離を求めてもらいました。実習1では新しい考えに少し手が止まる場面も見えましたが、考え方が分かると簡単に答えを導いていました。また実習2では実習1での考えを元に「銀河までの距離」という一見すると難しそうな問題を簡単に解いていました。
実習2までは順調に進んでいましたが、星の教室の目的である実習3「宇宙の年齢を求める」に入ると生徒のみなさんの顔つきが変わりました。グラフの結果をどう考えるか、計算にどのような意味があるのか、そもそも宇宙の年齢とは何か。途中で観望会を挟みつつ、次々に出てくる疑問に頭を悩ませたり、話し合ったりしながら星の教室の1日目は終わりました。
2日目はいよいよ発表会です。発表準備の段階では考えがまとまっていない班が多く、それぞれ宇宙の年齢や発表内容を確認し直したりしていたため、発表準備の時間を少し延長しました。
発表会では各班がそれぞれの求めた宇宙の年齢とその結果に至った考察内容を発表しました。始めのうちこそ少なかった質問も、後半になると積極的に質問をする生徒の姿が見られました。発表者のほうも、生徒や先生方からの質問に一生懸命考え、少しでも明確に答えようとする姿勢で、活発な意見交換が行われました。求めた宇宙の年齢はもちろん、求め方や考え方は班ごとに少しずつ違いがあり、発表会は生徒のみなさんのみならず先生方にとっても大変興味深いものとなったことでしょう。
発表会後は三戸さんによって実際に求められている宇宙年齢とその算出方法を公開する予定でしたが、それは三戸さんと生徒さん達がまた会う金曜日のお楽しみとなりました。
生徒のみなさんの中に深い謎を残したまま、閉講式にうつり、シュミットドームを後ろに記念撮影も行いました。三戸さんに直接答えを聞きだそうとする生徒の姿もみられ、「宇宙の年齢を早く知りたい」という共通の思いが生徒のみなさんにあったことと思います。
今回の「星の教室」を通して生徒のみなさんは議論をすることや考察の過程を説明することの難しさを学んだことでしょう。しかしそれ以上に「知りたい」という思いを忘れずにこれからも色々なことに興味をもって頑張ってほしい、と思いました。