木曽青峰高校星の教室

木曽青峰高校星の教室

日時2009/10/3 - 4
場所東京大学木曽観測所
対象木曽青峰高校(生徒34名 教師2名)
担当者猿楽 尾上 村仲

概要:

「星の教室」では「宇宙の年齢を求める」ことを目標として一泊二日のプログラムが行われました。参加したのは地元の木曽青峰高校理数科の2年生で、木曽観測所を過去に訪れたことのある生徒も数名いました。

<一日目>

まず開校式が行われた後、宇宙には一体どういった天体があるかや、現在考えられている宇宙の構造についての講義が行われました。

次にシュミット望遠鏡のドームの前で集合写真を撮り、その後ドーム内の見学をしました。参加した高校生達は、間近で見る巨大な望遠鏡に興味を持った様子で、終始楽しんでいたようです。

ドーム見学
ドーム見学 

実習1では視角を使って距離を測ることを学び、各班とも班内で協力して効率良く実験や計算をしていました。実測距離との誤差についての考察では、靴の高さや姿勢などの問題だという考えが多く、平均身長を使って計算したという点に気付くのは難しかったようです。

実習1
実習1 

実習2では銀河の画像から視角を計算し、銀河の大きさを仮定して距離を求めました。最低15個の銀河の距離を求めるということでしたが、早く計算が終わった班は20個近くまで計算しており、積極的に実習に参加している様子がうかがえました。

実習2-1
実習2-1 
実習2-2
実習2-2 

メインの実習3では、距離と後退速度のグラフを作ってそこから何が分かるか、どう やって宇宙の年齢を求めるかを議論しました。各班ともグラフを作るまでは順調だったのですが、そこから何が読み取れるかには苦戦していました。グラフに直線が引けそうだということが分かっても、それが何を意味するのか、一部の直線から外れた銀河をどう扱うかになどについて真剣な議論が交わされ、宇宙の果てにぶつかった銀河は後退速度が減少する、などの個性的な意見もたくさん出ました。

そして夜の10時になると議論を中断して観望会が行われました。当日は満月が非常に明るく見え、望遠鏡に携帯電話のカメラを近づけて月や木星の写真を撮っている生徒がたくさんいました。その後はほとんどの生徒は食堂で遊んだりして夜遅くまで起きて自由な時間を過ごしていたようです。議論の続きを考えていた生徒も一部いました。

<二日目>

初日の議論の続きと準備の後に自分たちで考えたことをまとめた発表会を行いました。初日の段階では年齢を求める段階にまでいくか不安だったのですが、多くの班がそれぞれ異なる考察の下に年齢の計算をしていました。実習1での誤差に関する考察を絡めた発表もあり、生徒達は様々な視点からグラフを読み取っていたようです。また、発表会では多くの質問が出ました。自分が分からなかったことを発表者に素直に質問したり、班の中で話し合ったりする積極的な様子にはとても感心しました。

発表会
発表会 

発表会が終わった後は、現在の最新の宇宙観を実習の内容と交えて紹介する講義があり、続いて閉校式が行われました。

まとめ

今回の「星の教室」では、議論の際にスタッフやTAが生徒達に指示を出すのではなく、あくまで生徒達に自分で考えさせることを重視しました。参加した生徒達は、答えが予め用意されている普段の授業では味わえない経験ができたと思います。本当の学問や研究とはどのようなものなのかを少しでも感じ取ってもらえたのではないでしょうか。この経験が生徒達の将来に役立ってくれたら嬉しいです。

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