日時 | 2010/2/5 |
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場所 | 島根県立松江北高等学校 |
対象 | 高校2年生37名 |
担当者 | 西浦、深瀬 |
2月5日に松江北高等学校の東大研修の一貫として、SSメンバーの西浦(東京学芸大学)が膨張宇宙論と生体高分子についての出前授業を行いました。
はじめに西浦から自身の現在に至るまでの紹介がありました。生徒さん達には研究者がどんな道を進んできたのか興味津々のようで、進路選択の参考になったのではないでしょうか。
自己紹介を終えてから、本題の実習に入ります。まずは膨張宇宙論です。
膨張宇宙論の授業では、歴史に沿って宇宙像の変遷をたどっていきました。天の川は私たちがいる銀河系だということ 、宇宙には銀河が多数存在しそれらが互いに遠ざかっているという事実。
そこまで話しをしたところで生徒さん達に実習としてハッブルの発見を追体験してもらいました。実習内容はこちらが用意した銀河の画像と視角という考えを用いて銀河までの距離を求めてもらい、距離と後退速度の関係からハッブル定数という重要な数字を求めるというものです。最初は銀河までの距離、という一見すると難しそうなものを求めるので生徒さんは戸惑っている様子でしたが、考え方が高校数学の簡単なものだと分かると淡々と銀河までの距離を求めていました。それでもなれない作業のためかハッブル定数を出すまでにはみなさん疲れていたようでした。それでもかなり良い精度のハッブル定数が求まり、西浦も驚いていました。
実習を終えたあとは、最新の膨張宇宙論と現在知られている宇宙の年齢について西浦が話しました。やはりみなさん宇宙の年齢については興味があるのか、実習で疲れているにもかかわらず年齢についての話になると熱心に聞き入っていました。
さて、壮大な宇宙の話の次は、微細な世界、生体高分子についての話です。まずは主役の生体高分子についての紹介です。生体高分子とは私たちのような生物の体を形つくったり、体内の反応などに欠かせない化合物です。そんな生体高分子の構造や最新の研究結果、また身近にある生体高分子などが紹介されました。
だいたい生体高分子について理解していただいたところで実習に移ります。この実習では生体高分子という生物の分野にもかかわらず「偏光」という物理現象を用いて生体高分子の特性を調べます。生徒の皆さんは偏光についてはご存じのようでしたが、偏光板が配られると周りの光源を偏光板で通して見るなど盛り上がっていたようです。実習では水に糖を溶かし、その溶け具合と糖がもつ「旋光」という特性の関係をみました。糖を溶かすにつれ偏光板を通して見える光が虹のように見えると、生徒さんから驚きの声があがっていました。
実習を立て続けに2つ続けたにもかかわらず、生徒のみなさんは最後の最後まで熱心に授業を聞いていました。東京大学という特別な場所での研修ということで、何か得るものがあれば幸いです。