日時 | 2010/9/23 |
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場所 | 日本科学未来館 |
対象 | 日本科学未来館友の会会員30名 |
担当者 | 賞雅、藤貫、佐々木、深瀬、村仲、松岡、青木 |
自己紹介の後、宇宙図を見ながらビックバンが起きてから、現在に至るまで、宇宙がどのように進化してきたか説明がありました。ビックバンのあと宇宙の中の元素の殆どは、水素とヘリウムしかなく、現在我々の身近にある重元素は、恒星内や、超新星爆発で発生した中性子により合成されていたことが紹介されました。そのあとドレイクの式を用いて通信ができるほどの文明社会を持つ星の数を来場された皆様に計算してもらいました。来場された皆さまの計算結果は1以下と答える方から1000以上と答える方まで、様々な計算結果が出ました。来場された皆さまからは、さまざまな質問が飛び交い、終始内容の濃い講義となっていました。
賞雅の講義では、アストロバイオロジーの1つの柱である地学の観点から生命の起源と進化に関する内容が紹介されました。具体的には、隕石から元素を抽出し、元素の同位体を調べる方法や、 海底熱水鉱床に36億年前に生物がいた痕跡があることなどです。
講義の中で、元素を分類する例としてペーパークロマトグラフィー実験を行いましたが、インクが個々の色に分かれていく様子を見て驚く観客の姿が見られたので効果的な実験だったと思います。 また、海底熱水鉱床については炭素の同位体を用いて生物の痕跡を探すことができるという話がありましたが、エウロパ(木星の衛星)にも海があり、海底には熱水噴出孔があるのではないかという話から、 地学と天文学の繋がりが意識されより熱心に話を聞く観客の姿が見受けられました。
地学はあまり一般の人にはあまりなじみのない学問ですが、実験や他の分野(天文学・生物学)との繋がりを意識した講義から熱心に話を聞かれている人が多かったので良かったと思います。 今後、地学に対しさらなる興味をもっていただければ幸いです。
藤貫は「生命の起源と進化~宇宙という巨大なフラスコ~」というタイトルで生物学の観点からのアストロバイオロジーについての授業を行いました。授業では「生命とは何か」、「生命はどこからきたのか」を テーマに生命の起源と進化について話しました。まず、生命を定義する二つの機能、「自己複製」と「代謝」を紹介し、また生命を司るDNA、RNA、たんぱく質の流れと役割について説明されました。 次に、生命ができるまでの化学進化の流れに内容を移し、生命への発展の過程において原始大気、海底熱水鉱床が重要な役割を果たしていることについて話しました。そして実際にDNAを目で見てみよう、ということで DNA抽出実験を参加者のみなさんに行なっていただきました。若い方から年配の方まで、来場された皆様が楽しんで実験を行なっていた様子が非常に印象的でした。今回の講座と実験により生命の起源と進化について より理解が深まったのではないかと思います。