日時 | 2010/3/28 - 31 |
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場所 | 東京大学木曽観測所 |
対象 | 生徒34名 |
担当者 | 猿楽、三戸、酒向、鳥羽、尾上、青木み、青木す、中嶋、市川、松岡、大木、済藤、深瀬、高山 |
第十三回目の銀河学校が今年も木曽観測所で開催されました。今回は、前回(銀河学校2009)の二倍以上の人数の天文学に興味のある高校生が、全国各地から参加しました。今年も意欲の高い学生が集まったため、学生たちにとって非常に有意義な四日間になったことと思われます。以下に、三泊四日にわたって行われた銀河学校2010の様子を報告します。
A班の研究内容は3種類の短周期彗星を観測し、その明るさからダストの放出量を求め、それぞれの彗星の寿命について考えてみようというものでした。
彗星の明るさを求めるだけでも多くのデータやソフト類を使用し様々なプロセスをふむことに生徒達は初めこそは苦労していましたが、時間が経つにつれ、積極的に自ら解析を進めていました。班内で3つのグループに分かれ、それぞれ別個の短周期彗星の寿命を求める作業を行いました。 その後各グループの計算結果を見比べ、各彗星の寿命の差の原因をその性質や活動の違いから考え議論しました。 最初はなかなか意見がでない雰囲気がありましたが、議論が進むにつれ互いの結果について質問したり、意見を出し合い考察をしていったりする高校生たちの姿がとても印象的でした。
ポラリスフレア(北極星の付近に見られるダストの分布)について、距離、大きさ、質量などの基本的な情報を調べました。その上で、ポラリスフレアのあたかもフレアが湧き上がるような構造がどのようにして形成されたのかを考察しました。
研究時、高校生が積極的に研究に取り組む姿が見られました。銀河学校初日は深夜2時まで自主的にデータ解析を行っている生徒が見られました。2日目は深夜4時までデータ分析や、物理量の導出を頑張っている生徒が多々見られました。3日目も発表直前まで生徒同士で積極的に議論している姿が見られました。強い好奇心を持って、自主的に現象を追及するという科学の研究をする上で最も大切なことが自然とできていたので素晴らしいと思います。 また、B班では、細かな役割分担をして作業を進め、ある程度個々の作業がまとまった時に全体で情報を共有し合うというプロセスを繰り返すことで研究を進めていきました。作業を分担することで個々の理解を損なうことが考えられますが、全体で情報を共有し合う場を何度か設けたことで、ある程度の理解を保ちながら研究を進められました。このことから、科学の研究には膨大な作業が必要で、人と協力することが大切なのだと学ぶことができたと思います。 今回の銀河学校では、研究者がどのようにして科学の研究をしているのかを実際に体験することができたと思います。高校生の皆さんが自らの進路を決定する参考にしていただければ幸いです。
C班の研究内容は、私たちの住む銀河系の「構造」と「大きさ」を調べるというものでした。地球から見て、銀河系の中心とは反対の方向の二つの領域に対して測光を行い、得られた結果と余弦定理を用いて銀河系の半径を求めました。
パソコンを使ったデータ解析に慣れていないために初めのうちは苦労している生徒が多かったようですが、パソコン操作の主導となる人を中心としたいくつかのグループに分かれた後には、互いに操作方法を教えながら解析を進めている姿が見られました。また、一日目は初対面のためか堅い雰囲気で議論や情報交換がなかなか進みませんでしたが、二日目以降はお互いに打ち解けたようで議論が活発に行われながら研究は進んでいきました。 最終日の発表準備の際には、それぞれの生徒が自分の得意なことを活かして自主的に行動する姿が見られ、スムーズに準備が進行していったようです。ひとつの研究テーマを大人数で分担して協力しながら進めていくという経験は普段の学生生活ではなかなか味わえないものなので、今回の銀河学校は参加した生徒たちにとって良い刺激になったことと思われます。