日時 | 2011/11/11 |
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場所 | 島根県立松江北高等学校 |
対象 | 普通科および理数科の 2 年生 152 名 |
担当者 | 穂坂、鳥羽、浅岡、村仲、高橋、村川、枠本 |
島根県立松江北高校において、総合的な学習の時間に90分の出前授業を行いました。
オイラー数、ブラックホール、プログラミング、電波の計4つの講座を開講しました。講座は、それぞれが映像や実験を取り入れた構成になっており、生徒さん方は授業内容に対して強く興味を持たれたようでした。また、今回の講師は全員が現役で研究を行っている大学院生ということで、研究者の生活や進路についての話もありました。受験や大学生活、研究について考えるきっかけになったことと思います。
以下、各講座の紹介です。
位相幾何学入門と題して、穂坂がドーナツを用いて幾何学の授業を行いました。開始早々に教卓の上に置かれたドーナツとワッフル、コーヒーカップで位相幾何学とは何かについて説明しました。続けて位相幾何学の例やオイラー数の話題になると、普段日常で聞き慣れない世界に興味を示したり、頭を抱えたりする生徒の姿がありました。中心に穴の空いた図形のオイラー数を求める実験では、講師が教卓の下からドーナツを出すと、生徒から歓声が上がりました。プラスチックナイフを用いてドーナツを切り、オイラー数を求めました。頂点の位置が分からず苦戦する班や、オイラー数を求めたが答えは違うのではないかと再計算する班がありました。休憩をはさみ、クラインのつぼや「ポアンカレ予想」について説明し、生徒の興味を惹きつけました。
講義を受ける前の生徒たちのブラックホールのイメージは「真っ黒、すべてを吸い込む」等、言葉から連想する「何か不思議なもの」であり、これを科学的に理解することが今回の講義の目的です。講義では、相対性理論から来るブラックホールの存在の予言、天文学的な位置づけ・観測について講師の研究を織り交ぜながら話しました。特に、「ブラックホールに吸い込まれる様子を吸い込まれる側と、それを外で見る側の視点に立ちどのように見えるのか?」「地球がブラックホールになるためにはどれくらい縮む必要がある?」というクイズや計算体験では、ブラックホールの性質を体感できたのではないでしょうか。毎回アンケートで次回聞きたいテーマとして多くあがるブラックホールについて講師独特のユーモアを多分に含んだ講義は、天文学をより身近にし生徒の関心を高めたことでしょう。
パソコンに直接命令するためのプログラミング言語とは何か、プログラミングをするために必要なアルゴリズムという概念について説明がありました。 その後、数字を数えながら3の倍数、5の倍数で変化するお笑い芸人のネタを例に、ある数字が3の倍数や5の倍数、3と5の倍数、どれにも当てはまらないの4つの分岐に分かれることを図とともに説明しました。実習として用意された数字分岐のプログラムをもとに、1から10000までこのアルゴリズムを実行するプログラムを作成しました。生徒たちは興味を持って聞いていましたが実習に入ると苦戦しながら始めてのプログラミングをしていました。 プログラムの内容を把握するのに時間がかかっていたように見えましたが、個々に講師とアシスタントが指導して回ると徐々に理解していく生徒が増えて、プログラムができる人が続出しました。完成したプログラムでは、画面に1から10000までの計算が表示され多くの生徒はパソコンの処理能力のすごさを実感していました。
授業の前半では、まず簡単に通信について説明した後、光電話の作成を、受信機班と送信機班に分かれて実習を行いました。自分で作った装置での通話に、生徒達も驚きをもって体験していました。授業の後半では周波数帯の資源の話とアナログ放送とデジタル放送の違いを説明し、デジタル放送の必要性、デジタル放送の画像の美しさなどについて学習しました。地デジが疑問だった生徒さんも、講義を通じて理解できたようです。最後に、浅岡の研究分野について紹介をし、是非聞きたいとの声が上がりました。