島根県立松江北高校東大見学出前授業

島根県立松江北高校東大見学出前授業

日時2014/10/7
場所東京大学本郷キャンパス
対象島根県立松江北高校理数科2年39名および教員4名
担当者村仲、石井

内容

 東京大学の見学に来た島根県立松江北高等学校理数科2年生の生徒たちに授業を行いました。

 まず、アシスタントの石井が東京大学で魅力に感じていることについて紹介し、情報社会を支えている材料について授業を行いました。現在の 情報社会では、情報をデジタル記録しています。デジタル記録では、情報を”0”と”1”で記録しています。代表的な記録装置として使わ れているのが、ハードディスクドライブです。ハードディスクドライブでは、磁石のN極とS極を情報の”0”と”1”に対応させることで、情報を記録しています。授業では、ハードディスクドライブの中に、どれくらい大きな情報が記録されているか計算してもらいました。また、実物を手にしてもらい、ポケットティッシュ程の大きさの装置の中に、コンパクトに情報が記録されていることを感じてもらいました。情報社会では、情報の記録だけでなく、情報の計算も重要です。授業の後半では、情報の計算に用いられている半導体材料について紹介しました。半導体になじみのない生徒がほとんどでしたが、実際に半導体を用いた回路で、半導体の性質を実感してもらいました。普段、情報社会をどんな材料が支えているか気にかけないと思いますが、今回の授業で磁石材料と半導体材料が重要な役割を担っていることがわかってくれたかと思います。最後に、将来、応用が期待される新しい材料について紹介しました。

東京大学の紹介
石井による東京大学の紹介

 次に、村仲がユニバーサルデザインについて、実習を交えて授業を行いました。ユニバーサルデザインとは、だれにでも利用できるように物をデザインすることです。ユニバーサルデザインでは、「直感」と「慣れ」に配慮してものをデザインすることが大切です。この考えは工学においても重要です。私たちの身の回りには工学に関わるものが、非常に多くあります。それを感じてもらうために、生徒に「教室にあるものの中で、工学に関係のないもの」を探してもらいました。その結果、教室にある工学に関わらないものが人間や空気くらいだと気付いてもらうことができました。では、工学に関わるものがすべて「直感」と「慣れ」に配慮したデザインになっているのでしょうか?そもそもどのようなデザインが「直感」と「慣れ」に配慮したデザインでしょうか?「直感」に配慮したデザインでは、だれにでも五感を使ってわかることが求められます。例として、エレベーターのボタンや信号のデザイン等を挙げて説明しました。逆に、「直感」に配慮できていないデザインも身の回りに多くあることを紹介しました。ここで、幼児にもわかるようデザインされたものがあることを知ってもらうために、実習を行いました。幼児の誤飲防止のために、苦味をつけたおもちゃがあります。その味を一部の生徒に体験してもらいました。生徒たちは視覚だけでなく味覚で誤飲防止が表現されていることに驚いた様子でした。

講義風景
村仲講義風景

 「慣れ」に配慮したデザインでは、従来の使用者が以前と同じ感覚で使用できることが求められます。例として、コンピューターのソフトウェアやキーボード等を挙げて説明しました。身近にあるものがどうして今あるデザインとなっているか説明し、生徒たちも高い関心を持って話を聞きました。 最後に、松江北高等学校のホームページをデザインする実習を行いました。限られた時間の中で、それぞれの生徒がアイディアあふれる作品を作り上げることができました。その後、投票を行ってどの作品がよいか考えました。普段から、慣れ親しんだデザインの作品に人気が集まりました。 工学に関わるものがすべて「直感」と「慣れ」に配慮したデザインになっているわけではありません。授業の最後に、普段の生活で不便に感じるものを探し、どうしたら改善できるか考えてほしいという宿題が出ました。

実習
実習

(記: 石井)