日時 | 2015/11/28 |
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場所 | ギャラクシティ 足立区こども未来創造館 |
対象 | 86名(公開イベント) |
担当者 | 藤原、卯田 |
弊法人の設立に携わり、現在に至るまで理事を務める藤原が「すばる望遠鏡~ハワイの『白い山』から宇宙を望む~」と題して、プラネタリウムを利用した講演会を行いました。弊法人は、足立区こども未来創造館での講演を過去に4度行っておりますが( 第63回出前授業、 第64回出前授業、 第70回出前授業、 第73回出前授業 )、 今回は、ハワイのすばる望遠鏡のスタッフとテレビ電話で繋ぎ、現地の様子を実況中継するという初の試みも行いました。
まずは、自己紹介も含めて以下のような順番で、ハワイのすばる望遠鏡がどのようなところにあるのかについて説明しました。
ハワイとはどんな場所?
ハワイ(諸島)にはいくつものの島々があるのですが、藤原が生活しているのはハワイ島です。その中でも、島内で最大の町である「ヒロ」に暮らしています。ハワイ島は大自然に恵まれていると同時に、自然の力を感じることができる場所でもあります。
マウナケアとは?
さて、ヒロの町から見える、なだらかな山が「マウナケア」です。マウナケアは、ハワイ語の「マウナ=山」「ケア=白い」を語源としています。これが講演タイトルの「白い山」という意味です。ハワイは暖かいところというイメージがありますが、マウナケア山頂はその高さ(標高4,205m)ゆえに冬には雪が積もります。
すばる望遠鏡って?
マウナケア山頂は、空気のゆらぎの影響が少ない、人工的な光がないという条件から各国の天文研究施設が並んでいます。そのうちの1つが、国立天文台の研究施設である「すばる望遠鏡」です。
すばる望遠鏡がどのようなところにあるのかの説明を終えたところで、昼のすばる望遠鏡から見える全天の画像をプラネタリウムに表示しました。青空と雪景色、雲海が広がっている様子を見て、会場内からは驚きの声が上がりました。次に、すばる望遠鏡のドーム内の写真をプラネタリウムに表示し、あたかもドーム内に来場者自身がいるような気分を味わっていただきました。すばる望遠鏡の学術的な役割などについても説明しました。
すばる望遠鏡に期待されていること、役割と特徴
続いて、すばる望遠鏡から見える満天の星空を映しました。そして、藤原はレーザーポインターを使って1つの星を指しながら、「この星が何かわかりますか?」と質問をしました。徐々にその星を拡大していくと、あちこちで声がし始め、その星の特徴的なリングまで見えてくると、「土星」という声が聞こえるようになってきました。このように聞き手とうまくコミュニケーションをとりながら、自身の研究分野の一つである土星の話を始めました。
土星のリングには「カッシーニの間隙」と呼ばれる隙間があります。これは可視光線(人間に見える光)で観測した際の様子であり、遥か昔から知られていた土星の特徴でもあります。しかし、近年、赤外線で観測することで違った様子が見えてきて、カッシーニの間隙は氷でできているということがわかってきました。知名度のとても高い土星ですら、まだまだわからないことも多いのです。本講演の主な聞き手は小学生だったということもあり、科学的なレクチャーは、この研究業績を切り口とした様々な波長で天体を観測することの重要性の1点に絞りました。難しい話を限定したことで、聞き手を飽きさせないと同時に、大切な話が心に残りやすくなったと思います。
次に、約10分間、すばる望遠鏡に滞在中の観測者とテレビ電話を行いました。観測室との中継によって、すばる望遠鏡をより身近に感じて頂けたと思います。また、ここでも質問の時間を設け、
「すばる」という言葉は、何かを率いるという意味の「統べる」の自動詞形である「統ばる」を語源としています。つまり、いくつもの星が集まっている様子を表した言葉です。すばる望遠鏡には、まさしくこの「すばる」の語源のように、天文学者のみならず、技術系スタッフなど様々な分野でスペシャリストが集まっています。また、日本人は約半数で残りの半数はハワイの現地スタッフであること、プロジェクトによってはカナダやアメリカ、中国やインドなどの国々と合同で取り組むなど国際色豊かであり、国籍の観点からも様々な人が「集まって」いることを話しました。そして最後に、こどもたちに向けて自分の好きな分野を突き詰めていくことの重要性を説き、結びの言葉としました。
事前準備や当日の来場者の誘導など、ギャラクシティのスタッフの皆さまによるサポートのお蔭で、本講演をスムーズに執り行うことができました。また、すばる望遠鏡のスタッフおよび観測者の方々にはテレビ電話での中継に協力していただきました。ここに深く御礼申し上げます。