日時 | 2016/10/6 |
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場所 | 東京大学本郷キャンパス |
対象 | 島根県立松江北高等学校理数科2年40名および教員4名 |
担当者 | 尾上、植村 |
研修旅行の一貫として東京大学本郷キャンパスの見学に来た、島根県立松江北高等学校理数科2年生の生徒達に講義を行いました。
講師の尾上は東京大学出身であり、初めに東京大学における学生生活について説明しました。実際の尾上の時間割や、その時間割に入っている授業の内容の紹介などがあり、生徒達は理学部の学生生活についてイメージが湧いたのではないかと思います。
その後、本題である天文学についての話題に移ると、観測天文学の基礎的な話の後に日本の国立天文台が運用する最先端の望遠鏡、「すばる望遠鏡」の説明を行いました。講義中ではすばるの最新装置である超広視野カメラHyper-Suprime Camによるアンドロメダ銀河やオリオン座の美しい天体画像も紹介しました。
休憩を挟んだ後半の講義では、講師の専門である初期宇宙と遠方ブラックホールについて、すばるの様々な研究成果を紹介しながら解説しました。宇宙の年齢は約138億年と言われています。30億年前、つまり宇宙誕生直後の大爆発であるビッグバン後最初の10億年の時代にある天体が、すばるを始めとする大型望遠鏡によって既に発見されていることを説明すると、生徒達からは驚きの声が上がっていました。
講師の尾上はすばる望遠鏡を用いて「超巨大ブラックホール」、あるいは「クェーサー」と呼ばれる天体を使った初期宇宙の研究をしています。この「超巨大ブラックホール」とは、ほとんど全ての銀河の中心に存在すると言われており、重さにして太陽の100万倍-10億倍もの質量を持っています。この超巨大ブラックホールはブラックホールの一般的なイメージに反して非常に明るく、時には銀河全体の100倍もの明るさになります。このようなとてつもなく明るい天体は遠い宇宙、つまり過去の宇宙を探る上で有用です。講義では、現在すばる望遠鏡が130億年以上前に存在する観測史上最遠方のブラックホールの発見を目指していること、さらに遠方の天体を見つけることで宇宙における初めての星や銀河、さらにはブラックホールの形成進化を探ることができる、ということを説明しました。
講義の最後は大学に向けて高校生のうちに何をしておけば良いのかという生徒達へのメッセージで締めくくりました。質疑応答の時間ではブラックホールや宇宙の歴史など様々な質問があがり、生徒達は興味を持って講義を聞いてくれていたようでした。今回の講義が生徒達にとって、自身の将来について考えるきっかけになれば幸いです。