日時 | 2016/9/10 - 11 |
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場所 | 東京大学木曽観測所 |
対象 | 長野県飯山高校の生徒19人、長野県大町岳陽高校の生徒3人 |
担当者 | 猿楽、西原、大谷、崔 |
「星の教室」は東京大学木曽観測所で開催されている一泊二日の実習プログラムです。今回の実習では我々から銀河までの距離を推定し、銀河までの距離と銀河の速度の関係から宇宙が膨張していることを見出し、宇宙の年齢を求めることを目標としました。
まず、木曽観測所にある105cmシュミット望遠鏡の見学を行いました。生徒たちは大きな望遠鏡やドームが動くと歓声を上げたり、望遠鏡の中を覗き込んだりしていました。また、現在開発中の望遠鏡に搭載する広視野カメラについてのスタッフの説明に興味深そうに耳を傾けていました。
見学から帰って来て、導入として科学の面白さとはどのようなものかということと、天文学の歴史について講義がありました。講義の後、銀河までの距離を求めるのに重要な「視角」という概念について学びました。視角とはものの見た目の大きさを表す角度のことです。被写体の大きさが分かっていれば、視角を用いることで、巻き尺で測らなくても写真に写っているものまでの距離を求められることを説明しました。より深く理解してもらうためにデジタルカメラを用いて実験を行いました。 撮った写真上の1cmは視角で表すと何度になるか計算を行い、対象の大きさ、視覚と対象までの距離の関係を確認しました。
次にいよいよ銀河までの距離を求めます。先ほどの実習で学んだことを活かすと、銀河の画像を印刷して、その大きさから視角を求めることで銀河までの距離が計算できることが分かります。生徒たちは用意された銀河のカタログを使って15個ほどの銀河までの距離を求めていました。
これまでの実習で求めた銀河までの距離と、 カタログから調べたそれぞれの銀河の速度をグラフにすることで宇宙年齢を求めます。この実習ではどのように考えれば年齢が求められるのかは説明せずに、生徒たちが自力で議論しながら考えていきます。班ごとに様々なアイデアを出して、熱心に議論していました。
夜間には観望会を行い、土星や月などを家庭用の望遠鏡で観察しました。生徒たちは鮮明に見える土星の輪や、街明かりの影響のない星空に感動している様子でした。
2日目は1日目に行った宇宙年齢に関する議論の発表会をしました。まず1日目の議論の確認をしながら発表準備を行いました。議論の続きが始まり準備時間が足りない様子の班もありましたが、各班なりに自分たちの考えが伝わるように一生懸命発表資料を作っていました。発表会では各班10分の持ち時間の中で自分たちが考えた宇宙の年齢の求め方と結果を発表しました。各班で宇宙年齢の求め方が異なり、生徒間で疑問点を議論している様子が印象的でした。
普段学校での受動的な勉強ではなく、答えがない中で自分たちで考えるという研究の大変さと面白さを体験してもらえた2日間になったのではないかと思います。今回の実習をこれからの学習に役立ててもらえればと思います。