日時 | 2017/12/9(土) 13時半~16時半 |
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場所 | 興雲閣(松江城内) |
対象 | 公開イベント |
担当者 | 鹿熊、橋立、渥美、沖本、田中舞、森(SS外部,東京大学 理学部所属)、卯田、所、西原、植村、島田、安田 |
ScienceStation (以下、SS)では、毎年、島根県立松江北高等学校と連携して「サイエンスカフェ in 松江」というイベントを開催してきました。 このイベントは、カフェのような場所でお茶をしながらサイエンスについて語らうことを目的とするものです。今年は松江北高校と ScienceStation が共催する形で、 ScienceStation メンバー 3 人がトークを行った他、松江北高校理数科の生徒さんたちが研究発表を行いました。
砂糖や塩、小麦粉などに代表される粉体は身近なところで多く使われています。 しかし、その挙動は特殊であり、固体、液体、気体に続く第4の形態と呼ばれています。そんな、不思議な粉体について紹介を行いました。 最初に、粉体の挙動の特殊性を理解できるように液状化現象について紹介を行いました。液状化現象は土や砂が粉体であるために起こる現象で、普段は固体として振る舞っている土や砂が地震によって振動することで液体状になるという、粉体の挙動の特殊性が強く現れる現象です。 その上で、粉体がはるか昔、エジプト文明から使われていたことを話し、粉体の性質が生活にどのように役立っているのかを説明しました。 その後、私の専門分野である資源分野と粉体の関わりを松江と同じ島根県内にある石見銀山を例に挙げて説明しました。 最後に、最先端の粉体研究として粉体シミュレーションについて紹介しました。
トーク終了後にもクレーターについて研究している生徒が、研究に粉体のシミュレーションが利用できないかと質問するなど、活発な交流が行われていました。
「破壊を制御しよう」というテーマでペースト(粉と水でできた液体)の乾燥亀裂の模様を制御するお話をしました。 特定の粉末でできたペーストには,乾燥させる前に入れた容器ごと揺すると,揺すった向きに応じた乾燥亀裂を生成するという特殊な性質が知られています。 この記憶には揺らした方向に垂直に亀裂が入る「揺れの記憶」と、揺らした方向に平行に亀裂が入る「流れの記憶」があります。そして、どの向きの記憶を持つのかは、ペーストによって異なります。両方の記憶を残す粉も、片方の記憶しか残さない粉もあります。単純そうに見える現象ですがそもそもなぜ記憶が残るのか、どのような性質のペーストがどのような記憶を残すのか、などわかっていないことは多いです。 シミュレーションを用いた研究との違い等にも触れ、実験ならではの苦労や楽しさを伝えられたかと思います。このトークを通して、身近なところにも面白い現象が潜んでいるのだと言うことが伝われば幸いです。
トーク中には渦巻状の亀裂はどういった条件で生成されるか?というクイズも出題されました。 参加者はトークの内容をもとに熱心に考え、正解する参加者もみられました。
このトークでは太陽などの恒星の形成や、銀河の進化の鍵を握る宇宙空間にある「ダスト」という微粒子についてお話しました。 まず、ダストが恒星の一生の後半に作られることを紹介しました。 このように作られたダストが集まることで再び恒星が形成されたり、地球のような惑星が形成されたりします。 ダストが重要である例として、惑星形成シミュレーションを見てもらいました。シミュレーションでは惑星が生まれる現場にダストが多い場合は惑星ができますが、少ない場合では惑星ができないことを示しました。 最後に宇宙を観測するときにダストが出す光を見ることの重要性を紹介しました。 ダストは星が出す紫外線を吸収して赤外線を放射する特徴があります。その光を見ることで銀河が活発に活動しているかどうかや、ダストの組成や結晶の状態などのダスト自体の性質が分かることを説明しました。
トーク中、聴衆は熱心に聞いており、後ろの方にいた聴衆は周りの参加者とスライドの内容についいて確認を行いながらトークを聞いていました。 中にはトーク終了後、質問に来る参加者などもいました。本イベントは島根県立松江北高等学校と共催で行い、同校の先生方に多くのご協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。