集合写真

長野県屋代高等学校 星の教室

日時2017/9/2 - 3
場所東京大学木曽観測所
対象長野県飯山高校探求科2年生生徒19名 、教員2名
担当者小島(M1)、廿日出(東大)、諸隈(東大)

「星の教室」は、毎年東京大学木曽観測所で開催されている一泊二日の実習プログラムです。今回の実習では、銀河までの距離を測定し、銀河までの距離と後退速度をもとに宇宙の年齢について考察しました。

1 日目

到着早々、講師の諸隈先生による天文学の歴史についての講義がありました。講義終了後、木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡の見学が行われました。そして、巨大な望遠鏡が回転するのを見た生徒から「すごい」などの歓声があがった場面が、とても印象的でした。また、現在開発中の広視野カメラTomo-e Gozen の観測計画など貴重な話を聞くこともでき、今後の天文学の発展に興味深そうに耳を傾けている生徒が多くいました。

写真2枚目
写真1枚目

見学から教室に戻り、実習1の「視角を使って距離を測る」を行いました。視角とは、目から物体の両端を望む角度を指します。はじめに導入として、視角の概念について説明をしました。次に、デジタルカメラを用いてポールの視角を求める実験を行いました。生徒たちは、計算で求めた視角の大きさが正しいのか、確認をしながら実験をしていました。実習1の後半では、カメラから人までの距離(視角距離)を求める実験を行いました。視角距離とは、「視角」と「見かけの大きさ」から推定される距離を指します。その結果、視角距離と実際の距離が近似的に1対1で対応している事がわかりました。

写真3枚目
写真2枚目

実習2の「銀河までの距離を測る」では、銀河の平均的な大きさと銀河の視角を用いる事で銀河までの距離を求めました。生徒は用意されたデータベースから15個以上銀河を選び、写真を印刷します。印刷された銀河の大きさを定規で測ることで、計算から銀河の視角を求めることができます。その後、銀河の平均的な大きさと、銀河の視角を用いることで銀河までの距離を求めました。写真のコントラストを変えることで、銀河の大きさや輪郭が変化してしまうので、どのコントラストが適切なのか班で意見を出し合いながら実習を進めていました。

2 日目

最終日の2日目は、1日目に求めた宇宙年齢についての発表会を行いました。自分たちの考えをまとめ、発表時間に制限のあるなか、どのようにしたら相手にうまく伝えることができるのか、どの班も試行錯誤をしながら発表資料を作成していたところが非常に印象的でした。プレゼンの発表後は、多くの生徒から質問があり、活発な議論が行われました。

写真4枚目
写真3枚目

まとめ

この実習を通して、生徒たちは、「宇宙年齢」の具体的数値と同じくらい、その結論にたどり着くまでの仮説やプロセスが重要である事が理解できたと思います。この経験を、今後の学校生活に役立てていただければと思います。

(記: 渥美)

「星の教室」開催にあたり、東京大学 諸隈智貴助教、廿日出文洋助教、東京大学 修士1年小島悠人さんにご協力していただきました。協力していただいた皆様に心から感謝の気持ちと御礼申し上げます。

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