日時 | 2018/12/8(土) 13時半~16時半 |
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場所 | 興雲閣(松江城内) |
対象 | 公開イベント |
担当者 | 渥美、田中、森井、沖本、安田、今村、橋立、佐藤、坂井、松沢、臼井、島田、鈴木、谷口 |
Science Station (以下、SS)では、毎年、島根県立松江北高等学校と連携して「サイエンスカフェ in 松江」というイベントを開催してきました。このイベントは、カフェのような場所でお茶をしながらサイエンスについて語らうことを目的とするものです。今年は松江北高校とSSが共催する形で、SSメンバー2人がトークを行った他、松江北高校理数科の生徒さんたちが研究発表を行いました。
このトークでは、まず最初に講師の通う愛媛大学理学部のカリキュラム等の特色を紹介するとともに、その他の大学の特色にも触れました。その後に大学の授業科目としての物理実験を題材に、高校と大学における物理実験の違いや物理実験を行う意味、実際にどんな実験を行なっているのかなどを紹介しました。実験については、大学において実験を学ぶ意味として、「誤差の扱い方を学ぶこと」や「実験装置の使い方を学ぶこと」、「数値的感覚を身につけること」の3つがあるを紹介しました。そのうちの前者2つに関しては、より具体的に、講演者が学部二年次の実験授業内で行った「誤差測定の実験」と「工作実習」という2つのテーマを紹介しました。
誤差測定の実験の話では、まず誤差には系統誤差と偶然誤差と呼ばれる2種類があることから説明し、どうすれば誤差が減らすことが出来るのかを述べました。また、具体例として複数人で行う実験で個人の視野によって誤差が生じるものでは目線の高さを合わせれば誤差を減らすことができると説明しました。
工作実習の話では、将来研究する際に特殊な形のフラスコが必要な場合ガラスを加工して作成をする等、実験装置の作成で工作機器を使う可能性がある事を説明しました。また、実習で使用した装置のうち代表的なものである、フライス盤と旋盤という2つの工作機器を紹介しました。
聴衆はトーク中ずっと集中して耳を傾けていていました。大学の授業だけでなく研究を見据えた質問や、トークの最初の方で簡単に触れた内容について深く掘り下げるような質問が挙がり、内容に強い関心を持っているようでした。
このトークでは宇宙と化学という、高校では別々の科目に分類される2つを結びつけるお話をしました。
最初に導入として宇宙の階層構造について、国立天文台が開発したMitakaというプラネタリウムソフトを用いて視覚的に見ていきました。Mitakaでは天体の位置を三次元的に観察することができます。このことで、普段は二次元でしか見ることができない宇宙の奥行方向の構造等の、宇宙の新しい側面を見ることができます。
その後、宇宙という環境の中で生まれる不思議な分子についてお話ししました。宇宙には地球上と比べて「めっちゃ寒くてスカスカ」な環境があるので、不思議な形をした分子がいくつもあります。
最後に、地球上で確認されているたくさんの元素が宇宙のどこでできたかについてお話ししました。別の種類の元素のでき方の例として、恒星内部の核融合反応や中性子星の合体などの天体現象をあげて説明しました。
高校では比較的明確に分けられている理科の科目ですが、突き詰めていくとどの分野にも隔たりがなく繋がっているものなのであるというメッセージを送りました。
本イベントは島根県立松江北高等学校と共催で行い、同校の先生方に多くのご協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。