集合写真

長野県屋代高等学校 星の教室

日時2019/07/25 - 26
場所東京大学木曽観測所
対象長野県屋代高等学校理数科37名、教員2名
担当者渥美*大澤*新納*高橋
(*印はScience Station以外のスタッフです)

7月25日から26日にかけて木曽観測所で長野県屋代高校を対象とした星の教室が開催されました。星の教室は、毎年東京大学木曽観測所で開催されている一泊二日の実習プログラムです。 今回の実習には屋代高校の2年生の理数科に所属する生徒37人と先生2人の合計39人が参加しました。

1 日目

木曽観測所に到着後、開校式を行い、木曽観測所のスタッフである大澤から施設の注意事項の説明をしました。開講式の後、早速新野が天文学についての導入講義を行いました。

導入講義
導入講義

座学終了後、天文台の見学を行いました。天文台の機材の説明を行い、実際にデモンストレーションで望遠鏡とドームを動かすとドーム内に機械音が鳴り響き、高校生から驚きの声が聞こえました。中には望遠鏡や機材の写真を撮影する熱心な生徒もいました。

天文台見学
天文台見学

施設見学後、次に行う2つの実験の事前準備として「視角から距離を求める」という講義を渥美が行いました。
簡単な自己紹介の後に、天文学で用いられる「視角」の概念説明をしました。

天体までの距離を求める方法は複数存在します。今回の実習では、「視角」と「見かけの大きさ」の関係から距離を求める方法を採用しました。
概念の説明した後に、ポールの縞模様を撮影してすることで、デジタルカメラ固有の視角の大きさを求める実験を行いました(実験1)。デジタルカメラ固有の視角の大きさとは、デジタルカメラを使って等倍で撮影された写真の縦と横の視角の大きさを指します。
次に、任意の場所に立った人を撮影することで、視角を用いて計算から求めることが可能な視角距離と実測距離を比較する実験を行いました(実験2)。
解析後、視角距離と実測距離の関係をグラフにまとめ、考察を行いました。グラフが何を物語っているのかを理解したときの生徒の表情が非常に生き生きしているように見えました。また、所々から「すげぇ」などの歓声をあげていました。

次に、実験2の人を銀河に置き換えることで、銀河までの距離を求めました。実験2の写真と異なり、銀河の写真のコントラストひとつで銀河の大きさが変化してしまうことに生徒は戸惑っていたが、解析をこなすごとにそれぞれの班なりの解析のルールが定まってきて、非常に順調だった印象でした。その後、銀河が地球からどのくらいの速さではなれているのを示す後退速度と銀河までの距離をグラフにまとめて宇宙年齢について考察をしました。班によって、考えに特徴があり非常に興味深かったです。
ある班は銀河と地球を使った物理的なモデルを作成して数式を使って議論していたのに対し、別の班は後退速度と銀河までの距離に関するグラフの縦と横の軸の単位から時間を求める方法を採用していました。

実験風景
実験風景

いま持つ知識を活用して未知の問題に取り組む姿勢や夜遅くまで熱心に議論する姿勢に感心しました。

議論風景
議論風景

2 日目

2日目は、1日目に行なった解析と考察をA4 10枚程度のスライドにまとめてもらい、発表をしてもらいました。研究活動において、自分の研究を他人にわかりやすく伝えることは非常に重要です。スライドを作成時に、全くこの分野を知らない人に理解してもらうにはどうしたらいいのかを考えてくれました。そのおかげで、言葉の定義やその考えに辿り着くまでのプロセスを丁寧に説明する班が多く、非常に実りある発表会だったと思いました。

発表会の様子
発表会の様子

今回の実習に限らず、これからの実生活で星の教室で学んだことを活かして欲しいと思います。

(記: 渥美)

謝辞

「星の教室」開催にあたり、東京大学より 大澤亮 特任助教、新納悠 特任助教、博士1年 菊地原正太郎さんにご協力していただきました。協力していただいた皆様に心から感謝の気持ちと御礼申し上げます。

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