日時 | 2020/10/2 - 3 |
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場所 | 長野県飯山高校 |
対象 | 長野県飯山高校2年生の生徒 28 名 |
担当者 | 森、谷口、*高橋、*近藤、*劉 (*印はScience Station以外のスタッフです) |
今回の出張教室では、朝9時からプログラムを開始して夕方には解散するスケジュールで実施しました。まず朝早くに集まった生徒に対して、講師が木曽観測所の紹介をしました。普段であれば実際に木曽105cmシュミット望遠鏡が動く様子を現地で生徒に見てもらいますが、今回は出張教室のためそれが叶いません。そこでかわりに動画などを活用することで、望遠鏡の大きさや実際の観測の様子について紹介することができました。
続いて、本実習の最終目標である「宇宙の年齢」を求めるために重要な概念である「視角」について学ぶ実習を行いました。例えば同じ電柱でも近くにあるものは大きく見え、遠くにあるものは小さく見えます。このように実際の大きさと目で見た時の大きさは異なり、この後者の見かけ上の大きさのことを視角と呼びます。視角について理解するために、異なる距離に立った生徒の集合写真を撮影して写真上の生徒の大きさを測定するという実習を行いました。視角はモノまでの距離とその大きさを用いて求めることができます。そこで、逆に視角と大きささえわかっていれば距離を求めることができる、ということを生徒に実体験を通じて理解してもらいました。
視角についての理解が深まったところで、銀河までの距離を用いて宇宙の年齢を求めるという本実習のメインテーマに取り組み始めました。事前に用意した天体観測写真に写っている銀河の視角を測定し、またその銀河の大きさを仮定することで、その銀河までの距離を推定することができます。この各銀河までの距離と、先行研究によって求められている各銀河が遠ざかっていく速度(後退速度)を合わせることで、宇宙の年齢を求められないか生徒に議論してもらいました。どのような仮定を置けばこれらのデータから宇宙の年齢を求めることができるのか、その仮定は本当に正しいのか、といったことに関して活発に議論している様子が見られました。
2日目は主に発表会とそれに向けた発表準備を行いました。1日目には議論が収束しなかった班も多々ありましたが、一晩おいたこともあり、どの班も議論が急速に進み何らかの結論を得ることができました。発表会では「銀河までの距離と後退速度のグラフをどのように読み取るか?」「宇宙は加速膨張しているのか?」などといった重要なポイントに関して深く質疑応答している様子が印象的でした。
今回は変則的に木曽観測所での合宿ではなく高校での出張教室という形となりました。このような形でありながら、高校の先生方のご尽力もあり、生徒は活発な議論を経て科学への興味を深めることができたと思います。どのような形態での開催であれ、今後も宇宙を通じて科学を広める活動を続けていきたいと思います。
「星の教室」開催にあたりまして、東京大学より高橋英則さんと近藤荘平さん、信州大学より劉強さんにご協力いただきました。心からお礼申し上げます。