銀河学校参加者の活動体験記


 今回私は、ただ宇宙が好きというだけでなく、木曽観測所を使わせていただき天文学の最先端に触れることができるということで、ずっと憧れだった天文学という学問が実際はどのようなものなのか知り、今後の進路決定にも役立てたいという想いから銀河学校2013に参加しようと思いました。確かに自分が思い描いていた姿とは良くも悪くも異なる面がいくつかありましたが、さらにこの道を進んでみたいという想いを強くさせる多くの新しい発見に巡り会うことができました。そう思わせてくれたのはやはり共に研究を進めた仲間の存在が大きかったのかもしれません。周りには宇宙について語り合える友人もあまりいなかったため、彼らとの会話はとても新鮮でたくさんの刺激をもらうことができ、充実した時間を過ごすことができました。また、ジュニアセッションにも参加し全国の宇宙好きな学生と交流、意見交換できたことは貴重な体験だったと思うし今後の様々な活動にも繋げていきたいです。たくさんの出会いに感謝します。

2014年3月
高校3年 守屋利昭


 私は銀河学校に2015年には生徒として、2019年にはTAとして参加させていただきました。現在は大学で地球や惑星を対象とした物理学を学んでいます。もともと高校では地学の分野に興味があり、宇宙の研究がどのように行われているのかについて知りたくて2015年に応募しました。
 銀河学校では観測所の望遠鏡を操作して実際に観測を行い、このデータを元にグループで研究を行います。実習を通して研究がどのようなプロセスで行われているかについて実体験することができました。特にデータの解析や、生データを処理して研究に使えるようにするなど、参加する前には考えてもいなかった様々な作業を行うことができました。これらの経験は普段の高校の授業では得られないもので、銀河学校に参加して非常によかったと思っています。
 現在私は宇宙の分野から少しだけ離れた地球と惑星の分野に進んでいます。銀河学校でのこの研究経験が、理学を進路に選択したのに大きく影響していると思います。
 宇宙の分野に興味がある人は勿論、将来研究者になりたいが研究のイメージがつかめない人や、単純に研究とはどのようなものであるかに興味がある高校生に是非お勧めしたいと思います。銀河学校での経験は、自分の将来を考えるのに非常に役立つと思います。

2019年12月
東京大学地球惑星物理学科3年 坂井郁哉


 高校2年生のときに、銀河学校2014に参加しました。小さい頃から宇宙に興味があり、東大の木曽観測所に行って大きな望遠鏡が使える、というのを楽しみに参加しました。天文学に憧れていたものの、実際どのようなことをするのか全く知らなかった私は、ほとんどの時間がパソコンでの解析だということに驚きました。ものさしが届かない遠くの星雲までの距離を求めるために、いろいろ計算したりグラフを作ったりしました。口頭発表を終えた後にいただいた質問に答えられず、悔しい思いをしたことを今でも鮮明に覚えています。銀河学校で苦戦しながらも楽しく研究した体験が、大学で宇宙物理学を専攻していることに大きく影響していると思います。
 大学生になり、銀河学校2017・2018・2019のTAを務めました。生徒の頃の銀河学校では、自分が今何をしているのかわからなくなるほど考え混乱することがありましたが、TAになると研究を俯瞰することができるようになり、銀河学校の良さを改めて感じています。大学生向けの研究体験でも、研究者が観測し一般に公開したデータを解析することが多いのに、銀河学校では望遠鏡を自分たちで動かし、観測データを取ることから行います。そして何より、高校までの「勉強」とは違う「研究」を高校生のうちに体験することは、非常に意義のあることだと思います。宇宙が好き、天文学に憧れているという高校生が、銀河学校に参加して研究を体験し、進路選択におおいに生かしてもらえたら嬉しいです。

2019年12月
東京大学理学部物理学科4年 大島由佳


 「好きな星はマグネターです!!」高校生の私は銀河や中性子星、系外惑星など、宇宙の天体が大好きないわゆる宇宙オタクでした。一般向けの本を読んで宇宙の不思議な天体や現象について知ることができるけど、実際の研究はどんなことをやっているのかはよく知らない…。天文学の研究の世界に実際に触れてみたいと思い、2017年高校2年の春に銀河学校に参加しました。
 参加する前、天文学とは大きな望遠鏡で天体を「観察」して、なにが起きているのかを調べるというイメージを持っていました。しかし銀河学校では、望遠鏡で撮った天体の画像上の明るさを数値として読み取り、明るさの分布のグラフを作成したり理論式に数値を当てはめて天体温度やガスの量を求めたりする作業を行いました。天文学の研究とは、漠然とイメージしていた単なる「観察」ではなく、数字と方程式とグラフの世界だったのです。銀河学校では、高校生で理解できる考え方を使ってデータを解析します。まだ自分は高校生だけど、天文学者になった気分で本格的な研究ができる!これが銀河学校で得られた特別な経験です。
 2年目の銀河学校は高校3年生で参加しました。銀河学校から帰ってきた数日後には大学1年生になっていたのですが、研究テーマの銀河の星形成率について調べていくうちに、銀河腕の定常密度波理論について興味をもつようになりました。研究の方針について班長やTAの方に相談をし、自分の通う東工大のELSIで銀河形成を研究されている先生や、三鷹の天文台で密度波理論の観測的検証を行われている先生に話を聞きに行きました。班長の先生や研究者の方々、銀河学校TAの方々に協力をいただき、1年後の天文学会で開催されたジュニアセッションで研究発表を行いました。
 銀河学校の魅力は高校生と天文学のサイエンスの世界を繋げてくれるところです。宇宙が好きだ!!という気持ちさえあれば大丈夫です。天文の研究がやってみたいと考える高校生に、ぜひ参加してほしいと思います。

2019年12月
東京工業大学理学院地球惑星科学系2年 丹羽佑果


 私は大学3年で初めて銀河学校にTAとして参加しました。高校生の時には銀河学校の存在さえも知らず、TAから初参加という少し変わった形の参加です。
 そもそもTAはTeaching Assistantの略で、つまりは生徒の方々に様々なことを「Teach」しなくてはならず、当然銀河学校での生徒の経験のない私は正直非常に不安な挑戦となりましたが、結果的に非常に有意義なものとなりました。というのも、生徒の皆さんが自主的に議論を行い、自主的に研究の方向性を決めているのです。もちろん班長やTAが外からアドバイスはするのですが、中には天文学の知識も殆どない生徒もいるはずなのに、互いに教えあって協力し自分たちの力で進めていくのは感無量でした。きっと天文学的知識はなくても、「宇宙が好きで詳しく調べたい」と思う心は人一倍強いのでしょう。私も生徒の方々の天文学に対する姿勢に非常に刺激を受け、自分自身の天文学の勉強や研究に対するモチベーションの上昇にも繋がりました。
 なぜ高校生の時にこの企画を知ることができなかったのか、と非常に後悔しているので、今この文章を読んでいるかもしれない高校生の人は、そもそも今この企画の存在を知っているということだけで既に幸運だと思います。是非青春に「宇宙を探求する」というアツい1ページを刻んでみてはいかがでしょうか?

2019年12月
東京大学理学部天文学科4年 三井康裕


 私は高校2年生の終わりに銀河学校2013に生徒として参加し、その経験を経て大学1年生の終わりから大学4年生の終わりに銀河学校2015から2018のTAをつとめました。これらを合わせて、これまで合計5回も銀河学校に関わったことになります。
 銀河学校では班長(天文学の研究者)が木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡を用いた観測天文学の研究テーマを用意し、TAにサポートされながら生徒が実際に研究します。とはいえ、班の研究テーマや雰囲気は集まった班のメンバー(班長・TA・生徒の組み合わせ)毎に違います。例えば班長が研究の目標達成に向けた道筋を丁寧に示すこともありますし、逆に班長は大雑把なテーマのみを与えて後は生徒に研究の流れを任せることもあります。あるいは、活発な生徒が班全体を引っ張っていくこともあれば、TAにサポートされながら各生徒が少しずつ意見を出して研究を進めていくこともあります。
 以上で見たように、班によって銀河学校での研究の進行スタイルが違いますし、そもそも班長やTAによって研究や天文学に対する価値観も違います。ですので、自分が銀河学校(あるいは母校や他のイベントでの研究活動)で経験した内容を是非他の人々と共有して比較してみてください。銀河学校で知ることができる天文学の研究の進め方の一例を参考にしつつ、多くの人々の多くの経験も合わせて、研究や天文学との自身の関わりを考えていってもらえればと思います。

2019年12月
東京大学大学院理学系研究科天文学専攻修士課程2年 谷口大輔


 私は銀河学校には高校生のときには参加せず、2019年に初めてTAとして参加しました。というのも 高校生のときは元々古生物の研究をしたくて大学を目指しており、天文には見向きもしていなかったからです。途中で方針転換して天文学科に入り、観測実習で初めて木曽観測所を訪れました。小望遠鏡での観測経験すらなかった私にとっては、望遠鏡やドームがリモコンでぐわっと動くのも、観測所内のパソコンからドーム内の望遠鏡をコマンドひとつで遠隔操作できるのも、とにかくすべてが新鮮で楽しかった記憶があります。私は天文学の研究を始めてもう5年目ですが、このときの観測は研究の楽しさの象徴として強く心に残っています。
 しかしそこで悔しかったのが、同じく実習を受けていた友人が銀河学校に参加していたことを観測所の方に覚えられていて「お〜久しぶり」なんて会話をしていたことです。そこで“銀河学校”なるものの存在を初めて知り、その友人に根掘り葉掘り聞いて「何で自分は銀河学校を高校生のときに知らなかったのか」とがくっと落ち込みました。高校生のときに参加できていたら本当に楽しかっただろうに…。
 そしていざ実際にTAとして参加してみたら、参加者の皆さんの前のめりっぷりたるや!さすが日本全国から銀河学校の存在を聞きつけた高校生たち。知識の差はあれど、全員が研究に真剣に取り組み、自分の考えをシェアし、仲間の意見を聞き、議論し、結果を出そうとしていました。観測天文学者が普段何をしているのかを知れるのも銀河学校の良いところではありますが、私はこの「天文に熱中している人しかいない中で4日間も過ごす」というのが銀河学校のもっとも良いところだと思います。他人との議論を通して研究の質を高めていくのは実際の研究活動でももっとも大切なことのひとつです。またもしあなたが天文学以外の道に進んだとしても、銀河学校で熱い議論の輪に加わったことは必ず役に立ちます。ぜひ、仲間との会話を通しながら研究を進めていく楽しみに、あなたもどっぷり浸かってみてください。

2019年12月
東京大学宇宙線研究所博士課程1年 菊地原正太郎