日時 | 2015/3/18 - 3/21 |
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場所 | 大阪大学豊中キャンパス |
対象 | 銀河学校 2014 参加の生徒 11 名 |
担当者 | 飯田、齊田、谷口*、所、平居*、深瀬、穂坂、三戸 (*印は、Science Station 外のメンバーです。) |
毎年 3 月に開催される日本天文学会春季年会では「ジュニアセッション」という、中高生向けの研究発表の場が用意されています。NPO 法人 Science Station では設立当初から、銀河学校に参加した生徒に対し、実習内容を発表するために生徒のサポートを行ってきました。今年も発表内容の指導とジュニアセッション会場への引率を行いましたので、その様子をご報告いたします。
なお、今回のジュニアセッションにおける発表のもととなった銀河学校 2014 については、活動報告書を公開しております。当時の実習内容の詳細が記されていますので、合わせてご覧ください。
前回の銀河学校が終わった後、全国色々な場所から銀河学校に参加した生徒たちがオンラインで集まり、銀河学校当時の 3 つの実習班ごとに実習内容の復習を行いました。その際、全ての班から意欲的に「ジュニアセッションで研究発表したい」という声があがりました。そこで昨年の銀河学校 2014 で TA (ティーチングアシスタント) を務めた NPO 法人 Science Station のメンバーを中心とし、生徒の発表サポートを行うことになりました。
各班の発表タイトルは、以下の通りです。
研究発表をすることが決まってからは、発表に向けて 3 種類の資料の作成を行いました。
まず必要なのは「予稿」という原稿です。ジュニアセッションでは全ての研究発表についての予稿が「予稿集」という冊子にまとめられ、全ての参加者に配付されます。これによって参加者は、自分の興味のある発表に関する詳細なことを、予稿集で調べられるようになっています。
この予稿では、A4 用紙 2 ページ以内で研究内容を要領よくまとめることが求められます。そこで実習内容を復習しながら、研究の要点や観測データのまとめを行い、文章に書き起こしていきました。一言で「書き起こす」と言っても、何も考えずに文字や図表を並べるだけでは読みづらい原稿になってしまいます。生徒と TA とで「どうすれば分かりやすく説明できるか」を検討しながら、資料作成を行いました。
予稿の作成が終わってからは、次に発表の準備を行いました。発表には
の 2 種類があります。予稿の次に作ったのは、口頭発表で用いるスライドの方です。予稿によって発表内容が固まっているとはいえ、プレゼンテーションではその全てを伝えることは不可能です。そのためスライドを作成するにあたっては入念な議論を何度も重ねつつ、情報の取捨選択を行い、かつ分かりやすく説明する方法を議論しました。
そして最後に、ポスター発表で用いるポスターを用意しました。上で述べた予稿やスライド作成のための議論はオンラインでのみ行いましたが、ポスター作成に関してはオンラインでの議論に加え、発表 3 日前から東京大学木曽観測所にて作成作業を行いました。生徒 4 名と TA とが東京大学木曽観測所に集まり、試行錯誤と試作品作りを繰り返しました。その途中では大判プリンタの使い方に関するトラブルに見舞われたりもしましたが、最後は全ての班で、ポスターを作り上げることができました。
スライドの完成後は、ポスター作成と並行して発表の練習を行いました。今回のジュニアセッションの会場は大阪大学で、銀河学校からの参加生徒と TA は皆同じホテルに宿泊していました。そこで発表の前日、ホテルの部屋に集まってプレゼンテーションの練習を行いました。
ジュニアセッション当日の 3/21 に、銀河学校 2014 の各班が発表を行いました。
一つ目の発表はポスター発表でした。研究内容をまとめた大きなポスターを会場に貼り、その前に生徒が待機して、話を聞きに来た人に対して個別に説明を行いました。ポスターセッションは会場内での移動が窮屈になるほどの大盛況で、中学生や高校生をはじめ、学校の先生やプロの天文学の研究者なども訪れ、非常に活発な議論が行われていました。銀河学校の各班のブースにも大勢の人が訪れ、研究の内容を聞いてくださいました。
そしてポスター発表後に、口頭での発表を行いました。口頭発表では 5 分という限られた時間の中で、多くの聴衆を相手に研究内容を説明しなければいけません。どの班も苦労してはいましたが、最終的に上手く研究発表をまとめていました。
またジュニアセッションに参加したのは銀河学校の生徒だけではありません。他にも 80 を超える個人・団体による発表が行われました。他の研究発表を聞くチャンスも日常ではなかなかありませんから、生徒たちは色々な発表に注意深く耳を傾けていました。
今回一連の活動を通じて、参加生徒には「研究発表」という営みが具体的にどう行われるのかを実際に体験してもらいました。日々の学校の授業とは異なる内容で、しかもかなり高い要求水準が設定されていたので、生徒は大変だったとは思います。ですが発表前後で着実に成長したことが感じられました。また人に研究内容を伝えるという行為は、引率 TA も日々直面する問題です。生徒との議論をすることは、単なる一方的な指導に留まらず、TA 全員にとっても非常に良い勉強となりました。
そして今回、良い発表が行えたとはいえ、今後へ向けた課題も残りました。そうした点はこの後改めて反省し、生徒と TA とが一段と成長するよう議論を行いたいと考えています。そして来年度以降も日本天文学会ジュニアセッションという場を通じて、銀河学校生徒の研究発表をサポートしていきたいと思います。
今回の発表の内容は、ジュニアセッション予稿集に掲載されています。ジュニアセッションのプログラムのページにおける講演番号 77, 82, 83 に、それぞれ A 班、B 班、C 班の予稿が PDF 形式でアップロードされています。ぜひご覧ください。
また、発表当日に用いたスライドおよびポスターをアップロードしました。下記のリンクからご覧ください。なお、容量が数 MB に達するファイルもありますので、ご注意ください。
今回のジュニアセッション参加にあたっては、東京大学木曽観測所のみなさまに発表準備のサポートをしていただきました。お礼申し上げます。