NPOサイエンスステーション
   −出前します、最先端の科学の授業−

Jun 29, 2008

物理学実験 ~その①~

 こんにちは。梅雨の長雨をどうすごしているでしょうか?わたくしhashihataは大量のレポートに追われるなど毎日が戦いの日になっています(笑)。

 さて、今回も実験についてお話しまょう。前回は生物学実験についてお話しましたが、今回は物理学実験についてお話します。物理といったら難しいというイメージがあるかもしれませんが、少し前に皆さんもご存知であろう超伝導を用いた簡単な実験を行ったのでそれについてお話します。

 超伝導状態とは超伝導物質が超低温に冷やされて臨界温度に達した時に、電気抵抗がゼロになったり、物質内部から磁力線が排除されたりする現象のことです。これらの現象を確かめて考える実験を行いました。使用した超伝導物質はイットリウム系超伝導体を使いました。実はイットリウム系超伝導体は冷やすために液体窒素を使用するのですが、イットリウム系超伝導体が発見される前の超伝導体は液体窒素(-196℃)よりも温度が低い液体ヘリウム(-269℃)を使う必要があり、それを用意することが大変でした。液体窒素を使用して超伝導状態を作り出せる超伝導体は高温超伝導物質といわれます。

 実験では液体窒素でイットリウム系超伝導体を冷やすと同時にイットリウム系超伝導体に流れる電流・電圧から抵抗を求めました。結果は-175℃ぐらいで臨界温度に達し抵抗が一気に無くなっていきました。文献を見るとその温度が臨界温度であることがわかりました。
 次にマイスナー効果を見る実験を行いました。マイスナー効果はご存知だと思いますが、超伝導体が磁石の上に浮く現象です。実際に超伝導体を液体窒素で冷やして磁石の上にゆっくりのせてみると見事に浮きました。面白かったので何回も試してみました。

 超伝導は一体どういうところに役立つのでしょう。その一例に送電線に用いる方法があります。電気は発電所から各家庭までたどり着く間に送電線自身の抵抗で電力が少しロスしてしまいます。超伝導は抵抗がゼロなのでロスなしで電気を送ることができます。そのため砂漠に太陽光発電所を設置して送電線に超伝導状態の超伝導体を用いれば世界各地に電力の損失がなく送電できることになります。他にもリニアモーターカーも超伝導現象を利用しています。超伝導体が一般的に使われるためには臨界温度が高くしなければなりません。もし、室温で超伝導状態になる物質が見つかったら我々の生活は大きく変わることでしょう。
Posted at 22:25 by hashihata | WriteBacks () | Edit
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