Jul 20, 2009
KERS本領発揮!
こんばんは。hashihataです。今年のF1は常勝チームが全く勝てないという波乱が起きているのですが、波乱の要因となっているのがKERS(運動エネルギー回収システム)の先手導入のようです。KERSというのは簡単に説明すると、ブレーキ時に発生する制動エネルギーを回収・蓄積して、加速時に出力することでboost効果を生み出すもので、ハイブリットカーのプリウスなどのエコカーでも同様の回生ブレーキを使用しています。F1ではKERSによって約80馬力、1周6.67秒間のboostが認められています。ほとんどのサーキットが1周1~1.5分で回ることを考えると、6.67秒間のboostは魅力的に見えますが、KERSの重量と重心のバランスが問題となり結果的にKERS導入チームはまだ優勝していません。F1がエコを目指し、KERS研究・技術がさらに多くの市販車を始めとする多くの機械に使われることを期待しています。
今年のF1は以前kanazawaさんが書いた記事のようにマシンに大きな制限が加わることになったので、ラップタイムも遅くなるはずですが、F1の技術進歩は恐ろしいもので、スペインGP予選では昨年のタイムを上回ってしまいました。タイヤが溝つきタイヤよりもグリップ力が高いスリックタイヤになったことはプラスに働いていると思いますが、ダウンフォースは確実に減らされていることを考えるとすごいことです。ちなみに、F1のタイヤはハガキ1枚より少し大きいぐらいの接地面積しかないのですが、そんなマシンが時速300kmで走っていることも考えるとすごいと思ってしまいます。
さて、KERSを使うチームは現在FerrariとMcLarenのみとなっていますが、先週行われたドイツGP(@ニュルブルクリンク)では大変面白いことがおきました。今年初、この2チーム4名が予選で全員一緒にTop10に入りました。ドイツGPでこの2チームが速かったのはKERSの影響があると思います。ニュルブルクリンクは標高800mの高地に位置しています。高地であるということは気圧が否応にも低くなってしまいます。そのため、エンジン内部で混合される空気量が低地に比べて少なくなり、その結果、エンジンの出力(排気量)が少なくなります。しかし、FerrariとMcLarenのKERSは電気エネルギーをモーターで出力しているので、気圧によるエンジンのパワーダウンがおきません。エンジンの性能差が低地より少なくなったことで高地ではいつも以上に力を発揮したと考えられます。
回生ブレーキを使用する市販車や電車などはF1のように6.67秒間の制限はないので、蓄積したエネルギーを全て利用することができます。回生ブレーキを導入したエコカーは普通に走ることでも環境にやさしいと思いますが、高地に行くときはエコカーで走ったほうがより環境にやさしいことでしょう。
ちなみに、明後日は日食があります。私は東京で部分日食を見る予定でしたが、予報は曇り空。でも、東海地方では少し晴れるようなので、もしかしたら、近いうちにエコカーを運転することになるかもしれません。
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